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お店のこと、金沢のこと。Vol.5|金沢茶寮ストアマネージャーの二拠点生活編

みなさんこんにちは。株式会社U.Sのディレクター兼、金沢茶寮のストアマネージャーの堀田です。夏休みはたくさんの方にご来店いただき、感謝の日々でございます。
本日は、8月に実施した親子向けイベントのレポートと、オープンから半年経った今の気持ちを書きました。
contents
夏の自由研究プランとルール
8月17日、23日、25日の3日間限定で、親子プランを実施しました。
夏休みの自由研究として企画し、通常プランとの違いは3つ。
1つ目は器の種類。通常、湯呑みまたはお猪口を選んでいただきますが、今回は子供たちの使いやすさを重視して、マグカップに変更。2つ目は、来店前の事前準備。事前に夏休みの思い出の写真を1枚決めてきてもらうことをお願いしました。通常プランだと、当日3色選ぶという流れですが、せっかくの夏休みなので、夏の思い出をイメージしながら、色を選んでいくという仕立てに。
最後は、お父さん、お母さんにも子供の頃を思い出して、子供に戻ってもらうこと。子育てをするお父さん、お母さんではなく、子供の頃に好きだった色やもの、日々の忙しさを忘れて、こころから楽しんでもらえたらいいなぁと感じ、企画をしました。
お店に足を運んでくれたすべての方に、楽しんでもらいたい
なぜ、親子向けイベントを実施しようと考えたか。
オープン当初から、家族でご予約してくださって来店してくださる方がいらっしゃいました。中には、「自分もやりたかったけど、こどもが体験をするので面倒を見ないといけないと思って…」と言ってお子さんだけ体験する場合もあれば、「子供が楽しめればいいかなと考えたけど、途中からわたしもやりたくなりました」とおっしゃる方も。お子さんの体験をみながら、もっとこうしたら?とたくさんアドバイスする親御さんもいらっしゃいました。笑
それなら、親子で一緒に参加しながらも、個々にきちんと楽しめるようなプランを実施できないだろうか?と考えたのです。また、コロナ禍であまり遠出ができないと考えているご家族にも、夏休みの自由工作としてお楽しみいただけるのではないか。そう思って実施を決めました。
真剣に説明を聞くお客さまたち
お客さまを通して、自分たちがアートを体験しているのかもしれない。
イベント当日は、反省も多くありました。使い勝手がいいだろうとマグカップにしたけれど、サイズが大きく、子供の手のサイズでは塗るのが大変だったり、静かで落ち着いたお店の雰囲気が緊張させてしまっていたり…。
それでも、選んだ写真をみながら、夢中になって作品をつくる姿を見て、子供の才能って無限なのだと感じました。私自身、店頭で塗りというアート体験を提供しながら、日々お客さまの個性や才能を目の当たりにするという、一種のアート体験をしているのかもしれません。スタッフから、「この夏休みで一番たのしいと言ってもらいました!」と報告を受けた時は、嬉しかったなぁ…(涙)
浴衣と花火をテーマにして色を塗りました。
完成したら、金沢茶寮特製の認定証をお渡ししました。
オープンから半年、変化を感じること。
金沢茶寮は、金沢の伝統工芸にもっと気軽に触れてほしいという想いから生まれました。
九谷焼で使われる器で、現代風にアレンジした金沢塗りを楽しむことができます。(個人的には塗る工程よりも、削って模様を出す工程が好きで、時間さえあれば器を削っています。笑)
塗りの一層目で凹凸をつけ、最後に削ると模様が出て仕上がりに変化が出ます。
2時間の体験は、実は“決める”というプロセスが多いんです。
まず器を決めて、色を決める。塗料の配分、塗り方も自分で決める。最後にトップコートも決める。笑
「自ら決める」というプロセスが多い金沢茶寮の塗り体験を、“思った通りにできなかったらどうしよう”、“決まりがなくて難しい”と感じる方もいらっしゃるかもしれません。オープン当初はそんなお客さまを見て、もっとサンプルがあったほうが良いのではないか?とか、思い通りに作れるようによりサポートできないか?と試行錯誤していました。
それが時間が経つにつれ、あえて模範回答は用意しなくていいと考えるようになりました。
なぜかというと、自分の趣味・嗜好からおすすめされたものを選ぶという行為が増えている世の中で、せめて金沢茶寮で過ごすときだけは、自分で決めたことを大切にして欲しいと思うようになったからです。
出来上がった作品は世界に一つだけのもので、当然間違いなんて存在しないし、点数も順位もつかない。正解があったとしてもそれは誰かの正解であって、目の前にあるものがすべて。幾度の「決める」プロセスを経て、お客さまが自分の作品を愛でることができたら、金沢茶寮が存在する意味があるのではないかと個人的には感じています。
スタッフ一同、首をながーくして、皆様のお越しをお待ちしております。

<編集後記> Project Management / Director / Store Manager 堀田紙パレットにメッセージを書いてくれたり、絵を書いて帰るお客さまがいらっしゃいます。 灼熱(赤)、絢爛(ゴールド)、まどろみ(白)を選んだ50代くらいのお父さま。帰られた後にテーブルを片付けていたら、パレットには灼熱で描いた火の鳥のような絵が。いや、カンガルーか?スタッフの中でもかっこいいねと話題になりました。いつもとちょっと違うパレットは、裏パレットとして、写真を撮って保存しております。いつか、裏パレット展したいなぁ。