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クライアント対談

2022.03.10

旗艦店オープンまで、たった2ヶ月。3倍速で進めるブランディングプロセスとは。|Wan Deli Tokyo 編

ペットフード新規事業の垂直立ち上げ。
メンバーは2名。前途多難なスタートでした。

「自然をいただく」をコンセプトに、わんちゃんの体にあった野菜やお肉お魚などの自然の食材を使った健康フードブランド「Wan Deli Tokyo」。レストランやカフェの料理のように一品一品、店舗で丁寧に調理しているのが特徴で、現在は9種類のmy dog deliシリーズを販売しています。

2020年12月に迫っていた旗艦店のオープン。社内のリソース不足でプロジェクトが思うように進行していない状況を打破するため、外部パートナーを探していた服部さま。
さまざまな人脈を駆使し、辿り着いたのがU.S社でした。

U.Sでは2020年10月から、ブランド立ち上げ、店舗出店までを支援。
通常半年から1年かかるプロジェクトを、下記プロセスで進めてことで、2ヶ月での垂直立ち上げを実現しました。
服部様をゲストに迎え、スピード立ち上げを主導したU.S代表取締役井澤とともに、2ヶ月でブランド立ち上げが実現した理由を振り返ります。

■対談者 Wan Deli Tokyo
事業責任者 服部 晏奈様
新卒でリクルート社に入社後、2020年よりペットフレンズコーポレーションに入社。広報担当兼、新規事業事業責任者としてWan Deli Tokyoの立ち上げを行う。

■株式会社U.S 代表取締役/井澤 佑介
アパレルメーカー広報兼SV、リクルート社シニアクリエイティブディレクターを経て、2018年U.Sincを設立。代表取締役。企業やサービスの事業戦略・ブランドのコンサルティングを行う。「机上の空論に価値はない」と考え、自社事業としてライフスタイルブランド、EC、スモールホテル投資事業などを運営。リアルな経営データ、事実、経験に基づく戦略立案、プロデュースを得意とする。

デザインや形から入るのではなく、
ブランドのあるべき姿から描いていく。

U.S Inc. 井澤佑介(以下、井澤)
まず、ブランドの成り立ちをお聞かせいただけますでしょうか。服部さんからお声かけいただいたのが2020年9月でしたね。

ペッツフレンズコーポレーション 服部晏奈(以下、服部 社名・敬称略)
フードブランドの立ち上げ自体は2019年から始まっていました。アメリカ視察へ行った際、ワンちゃん用の手作りご飯を見つけて、日本でも実現できないか?と考えたのが「Wan Deli Tokyo」です。
日本に戻ってから、1年の試作を経て9つのレシピを完成させました。
並行して店舗のオープン準備を進めていましたが、そもそもどんなブランドにしていくのか?という部分が固まりきらずの状況で…。商品には自信があったのですが、どう売っていくかというマーケティング戦略が難航していました。

井澤 商品に自信があるからこそ、どういったブランドにしていくか、悩んでしまいますよね。

服部 正直いくつかデザイン会社、クリエイティブエージェンシーにもお話は聞いたんですが、デザインや形から入ることが多くそれでいいのか?と考えました。最初にU.Sとコンタクトをとった時に、まずはブランドとしての理想、あるべき姿から描いてく、そのために何をするべきかという建設的な議論ができました。
そこで、「U.Sに頼めば絶対安心だ」と感じたんです。アポイント前からの対応の速さ、レスポンスの速さ、オープンまで時間がない状況でも断らないスタンス。スケジュールからしてもかなり無理を聞いてもらうことになるだろうと考えていましたが、是非一緒にやりたいと思いました。

井澤 ありがとうございます。そう言っていただいて本当に嬉しい限りです。

服部 私自身、残り数ヶ月でどう進めていけばいいのか、全くイメージが付いてませんでした。そんな中で、何を社内で議論し、何をいつまでに決める必要があるか、詳細に、かつ明確に出してくださった印象です。デザインのみならずプロジェクトの進捗を丁寧に伴走してくださったと思います。オープンまで1分も1秒も無駄にはできませんでしたから(笑)

コピー、デザイン初稿は100案提出。
修正は、持ち帰らずその場で対応。

井澤 おっしゃる通り、実現までのスケジュールを考えると、1日も無駄にできない。さらに、御社内での検討や稟議も必要。となると、デザイン修正を数回繰り返すプロセスは踏めないため、提案・フィードバック・修正を数日かけて行うのではなく、その日、その場で、さまざまな論点と議論し決議いただけるようありとあらゆる方向から、準備をしていきました。

服部 デザインの初稿が100案出てきたときは正直驚きました。(笑)

井澤 ちょっとやりすぎたかもしれません。(笑)
ですが、本当にご納得いただいてこのデザインでいい!と愛していただくためには、1案や2案、いっても10案程度ではいけないと思いました。通常は何案かをおもちして、意見をいただいて修正をして、また別の方向を探ってとなりますが。今回は時間がなかった。でも時間を制約に妥協もしてほしくはありません。であれば一回の打ち合わせでありとあらゆる方向から検証できるようにお持ちしようということになりました。



デザイン提案時には、4象限に分けてプロット。方向性を擦り合わせた上でさらにその場でブラッシュアップを行った。

服部 ワンちゃんの目の位置やひげの位置といった細部までこだわっていただいて。量も驚きましたが、こちらのフィードバックをその場で修正するというやり方も、今まで経験したことがなかったので、私自身勉強になりました。決定までのプロセスは、社内のノウハウになるとも感じたんです。

井澤 事前の準備を徹底することで打ち合わせが、議論だけでなく、一緒につくり上げる場になっていった感覚はりますよね。私たち自身、プロジェクト終了後も、我々のノウハウを活用していただきながらクライアントのみなさんが自走できることが重要だと考えているので、嬉しいです。

服部 コンセプトやターゲット設計の議論も非常に参考になりました。ゴールまでのレールを敷いてくれたのがありがたかったです。

井澤 デザインの話を先にしてしまいましたが、そもそもブランドコンセプトを決めるためには、ポジショニングやターゲットの整理が前提です。
とはいっても整理・検討をしますと言われても、何をしたらいいのかよくわからないですよね。

服部 そうなんです。次に何をしたらいいのか、タスクがぼんやりとしてしまうことも多くて。

井澤 今回は商品が既に完成していたので、まずは商品特徴からヒアリングさせていただき、競合比較やマーケットでのポジショニングを調査・分析・整理を行いました。
その際に、服部さんには議論内容を事前にお伝えし、当日までに整理を依頼しました。

服部 どの順番で進めていくかを明確に提示してくださったので、事前準備ができました。
さらに毎回、議論しているその場で整理・資料修正までしてくれたのがとっても気持ちよかったです。残論点がなく、ちゃんと次のステップにいけるってなかなかないと思うんです。


プロジェクト進行時の資料。コンセプト確定にあたり必要なタスクとスケジュールを提示することで、短期間でのブランド立ち上げを実現。

井澤 スピード重視の側面もありましたが、会話や情報が新鮮な状態で整理しておくことも大切なので。
そのまま御社内の検討や稟議に使えるような資料作成も心がけていました。

服部 まさに!社内承認のために資料を作り直す必要がなかったことも、本当に助かりました…。
通常、外部パートナーさまが持ち込んでくださる資料は、社内向けに作り直すことが多いんです。U.Sさんは社内でも使えるよう資料作成してくださったので、社内プレゼンが非常にスムーズでした。

井澤 我々としては、服部さんをはじめ皆さんがどうしたいか?という意思をお持ちだったことも、短期間での垂直立ち上げを可能にした秘訣だったと思っています。

服部 振り返ると、V M D(※ビジュアルマーチャダイジング)まで一貫してお願いできたことも大きかったです。店舗内装だけ別のパートナーさまに依頼していたら、もしかしたらオープンに間に合わなかったかもしれないなと。

井澤 戦略伴走からデザインのアウトプットまで行うことがU.Sの強みなので、プロジェクト全体を支援できてよかったです。

戦略から店舗設計、ECまで
トータルなブランディングをすべて相談できた。

井澤 2020年12月に店舗をオープンされて、1年と2ヶ月経ちましたがご状況はいかがでしょうか。

服部 おかげ様で、店舗・E Cともに順調です。オープン当初、ワンちゃんがご飯を食べないというお悩みがあったオーナーさんがいましたが、今ではワンちゃんがmy dog deliシリーズをよく食べてくれるみたいで散歩途中に立ち寄ってくださいます。9つのメニューをメニュー名ではなく番号でオーダーを受けると「Wan Deli Tokyo」がお客さまの生活の一部になっているんだなと感じることができます。
本当に、お客さまに支えられてここまで来れました。

井澤 WDTは店舗があることが強みですね。

服部 おっしゃる通りです。直接お客さまと会話できる店舗があるというのは強みであり、差別化できる部分です。お客さまにとって安心材料にもなると思います。今後はECも強化し、サブスクも始めていきたいと考えています。

井澤 実は僕の母親もWDTのユーザーです。

服部 え?そうなんですか?こんな近くにユーザーさんがいるなんて!そういえば、ブランド立ち上げを支援いただいた際、店舗とECのターゲット層を分けて考えてくださって。実は、それぞれ来ていただいているお客さまは、U.Sさんと一緒に決めた2つのターゲットとズレがないんです。正直なところターゲットを分けなくてもいいのでは?と考えていましたが、どちらもfitしているので間違ってなかったなと感じています。

井澤 最近は事業競合も増えてきた印象です。これから先、どんなブランドを目指していくのかお聞かせいただけますか。

服部 現在は、ワンちゃんの健康を後押しできるブランドとして事業拡大していますが、今後はペット以外の部分でWDTとして社会貢献できないかと模索中です。
WDTのレシピは、築地から規格外野菜を仕入れて作っています。味は変わらないのに、ちょっとした見た目の違いで破棄されてしまう野菜を活用することで、農家さんを助けられないかというのがきっかけです。

井澤 素晴らしい取り組みですね。

服部 ありがとうございます。パッケージに関しても、バイオマスパック・紙製の容器を使用し、ワンちゃんにも、環境にも、そして地球にもやさしいごはんを目指しています。

井澤 我々もWDTさんの事業拡大スピードに負けじと進化し続けていきたいと思います。
本日はありがとうございました!


左から
株式会社U.S 代表取締役 井澤祐介
Wan Deli Tokyo 事業責任者 服部 晏奈様

店名:WAN DELI TOKYO
設立:2020年12月

<事業内容>
自然と健康を詰め込んだわんちゃんのための手作りフード店舗の運営、EC販売


<WEB SITE>
https://wandelitokyo.jp