Jounal
つややかで美しく。ガーゼのように心地よい。 「Su」のこだわり。

日本を代表するタオル産地、大阪泉州。この地の豊かな風土と水から、room705の「Su」のタオルが誕生しました。room705と「Su」を共同開発したのは、1959年創業の老舗メーカー、株式会社丸中(まるなか)。吸水性が良く清潔で、肌触りも良い後晒しタオルの製法を用いた、泉州タオル。タオルの商品作りのこだわりを、株式会社丸中 常務の中道啓太さんに取材しました。
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依頼を受けた時の心境は。
「当初、room705の「架空のホテルの一室」というコンセプトを聞いたとき、まず想像したのは「非日常な空間を演出する、高級な、包み込むようなタオル」でした。
部屋のイメージを聞いたとき、ビジネスホテルにある、硬くてしっかりしたタオルではないなと思ったんです。そのタオルに包み込まれながらリラックスできるような、思わず触れたくなるような柔らかいタオル。そのイメージを実現できるような、糸の選定を行いました。
糸は、インド産の高級綿糸から作られた、長くて柔らかい糸を採用。その糸を使うことで、タオルがゴワゴワにならず、優しくて包み込まれるような触りを実現しています。加えて、この綿糸は少し油分を含む糸のため、色に染めたときに、上品な感がでるのも特徴です。染めたときに、高級感を出すことができるこの糸は、今回のコンセプトにぴったりだと思い、採用しました。
一概にタオルと言っても、糸の選び方や綿の品質によって、仕上がりは全く異なります。さまざまな糸、さまざまな組み合わせの中から、タオルを使うシーンに最適なものを選んで組み合わせることが重要だと考えています。タオルを一番知る私たちが、そのシーンそのものを提案しなくてはならないし、『マーケットイン』の発想で作り上げなくてはいけないと思っています。そんなわたしたちにとって、コンセプトからオーダーを受けるという今回の商品開発は非常に面白いお題でした。 」
開発にあたり苦労したことはありますか。
「ブラックのバスタオルというものは、市場にはなかなか存在していないんです。これには2つ理由があって、この黒の色を出すのが難しい。もう1つには、色落ちのリスク。漆黒に染めたいと言われたときは、正直、どうしようかと思いました(笑)黒に近い青色とか、そういうのではなくて、真っ黒がいいと。世界観を表現するにはどう実現しようか、アイデアを練りました。
実現に向けて、まずは実験を行いました。三原色の黒の実現をタオルで表現するため、染料をどう配合するか。色見本を出しながら、何度も試行錯誤を重ねました。加えて、色落ちをしない品質を試すために、染料の濃度パターンを試しました。「漆黒」しかも「色落ちしない」―この2つを両立させるのは、挑戦に近いものでした。
それでも、選定した艷やかな糸とこの黒が合わさると“非日常”“高級感”という世界を演出できるんじゃないかと思ったのも事実。私たちはシーンに合ったタオルをつくりたい。ここで妥協はできないなとも思いましたね。完成したSuの漆黒のタオルは、まさに部屋に飾るだけでモダンなホテルライクなタオルに仕上がったと思います。糸の艶感と黒の色合いのバランスが絶妙な、唯一無二のタオル。機能性をそのままに、デザインや風合いにもこだわり抜きました。」
タオルづくりのこだわりは。
「常に意識するのは、相手の期待を超える提案と、泉州品質の両方を追求することです。タオルの好みや、使うシーンって、実は十人十色なんですよね。今回のようにバスタオルなど、肌に触れる、お風呂上がりに使うものもあれば、日常で手を洗うときに使うコンパクトなものもある。柔らかくて高級感があるものがいい人もいれば、ゴシゴシ洗える方がいい人もいる。私たちは、そういう多種多様なニーズに対応できるように、いろんな糸を調達しています。そして、どんなニーズのタオルであっても、この泉州のクオリティで仕上げて、お客様に届けることを大事にしていて、どんなタオルであっても手を抜くことはありません。
また、丸中では、どのタオルも、縫製を機械式と手縫いの両方で行い、1枚1枚を最終的には人の手で仕上げています。この縫製には職人の技術が必要であり、任せられる人数は限られていますが、可能な部分は機械を併用することで、多くの人にタオルを届けています。
タオルの生産において、最も重要なのはなんだと思いますか?糸や織り方と思うかもしれませんが、実はタオルの生産において最も重要なのは”水”です。糸から紡がれたタオルをどのような水で「晒す(さらす)」かによって、品質は大きく左右されます。仕上げの水の品質で、タオル自体の性質をも変えてしまうんです。驚きですよね。笑
具体的には、タオルを生産する際につけたのり、油分、不純物を、良質な水できれいに取り除く過程のことを「晒し」と言い、この過程を経て、肌触りがよく、吸水力が高く、劣化しにくいタオルがつくられます。この水の品質が良質な“軟水”であることが重要で、天然の“軟水”を使うことで、上質なタオルが生まれます。
大阪泉州は、とても水に恵まれた土地で、和泉山脈から海へと流れる際に生まれる、地下水を用いて「晒す」ことができる。安価な輸入製品が国内に入るようになった昨今でも、国内のタオルが選ばれるのは、この差があるからなんです。自然の恵みに感謝し、これからも泉州品質をさらに追求していきたいと思っています。」
Su
“Su”は、大阪の泉州で生まれた心地よいタオル。ホテルライクなデザインと、吸水性や肌触りといった機能性を兼ね備え、バスルームをモダンな印象に変えるようなタオルを目指しました。都会的でスマートな印象を抱かせるブラックと、暖かく優しい印象を抱かせるグレーの2色展開。
商品詳細はこちら https://room705.store/products/su

丸中(まるなか)
日本を代表するタオル産地・泉佐野市に工場を持つタオルメーカー。1959年4月の設立からものづくりにこだわりを持ち、Made in Japanの高品質な”泉州”タオルを生産している。