Jounal
経営戦略としてのコーポレート&IRサイトを生み出していく

〜ブランド紹介〜
VEGA corporationとは・・・
日本最大のD2Cインテリアブランド「LOWYA」や日本の商品を海外に届ける越境ECプラットフォーム「docodemo」を運営する上場企業。(東京証券取引所グロース市場上場企業)
「LOWYA」はファストインテリアをコンセプトに良質でデザイン性の優れた家具や雑貨の企画・製造・販売をワンストップで行うだけでなく、多様なメーカーのインテリアや家電などを幅広く取り扱い、エンドユーザーに対してライフスタイルそのものを提案するスタイルが特徴。上場後も常に新しいサービスに挑戦し、世の中に新しい価値観・体験を提供し続けいている。
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背景と課題
― U.Sの規模感で上場企業のコーポレートブランド、しかも会社の顔となるコーポレートサイトに関わる機会というは珍しいと思うのですが、どういった経緯で参加したのでしょうか?
「U.Sが創業してすぐの2018年頃に、採用ブランディングやインターンシップコンテンツの開発に携わらせて頂いたことがありました。弊社はリクルートのHR関連のクリエイティブディレクターやコンサルタントがいるため、人材的な部門でのお取引が始まりでした。その後も担当部門の執行役員の方から、継続的にご相談やお声かけをいただくようになっていたんです。
その中で『上場企業として必要とされる継続的な株主や社会への情報開示、ブランド力強化のためコーポレートサイトやIRサイトのリニューアル検討をしている。社としても重要なプロジェクトでもあるので社長直下となった。社長より、以前採用ブランディングを依頼していた会社を呼んでくれと言われたのだけど対応できますか?』とお声をかけていただきました。のちのちにお聞きしたところによるとビジネスリテラシー、大規模なプロジェクト推進力、クリイエティブをご評価いただいていたようでした。恐縮ですね。」
プロジェクトの進め方について
― 社長様直下のコーポーレートサイトリニューアルということで規模もプレッシャーも大きいと思いますが、どのように進めたのでしょうか?
「大切なのはゴールを議論、設定することでしたね。これだけの大規模な企業のサイトリニューアルなので、何のために実施するのか、どのレベルで実施するのか、実施した後どうするのか。本件の場合は情報開示やブランド力強化についてサイトを通じてどうするのかをまず最初にしっかり検討いただきました。週一回2〜3ヶ月ほどボードメンバー様と議論を重ねたと思います。
レベル感が決まった後は、実現するために乗り越えなければならない壁=課題の認識を揃えました。今回は無数にある情報資産の整理やカテゴライズ、それをどう見せると目的が達成されるのか、逆に不要な情報やカテゴリー、削ぎ落とすべきものは何なのか、何でもかんでも情報が集積されているサイトではなく、目的に即した機能的なサイトを目指すことになりました。その結果、無駄が一切ないこと。更新性が高いこと。使いやすさを徹底的に追求すること。この3点をクリアすべきという結論に至りました。クリエイティブ以上に時間を使って検討していった気がしますね」
CPブランディグの方向性
― さまざまなユーザーやステークフォルダーがいる中どのようにリニューアルの方向性を検討したのでしょうか?
「前段の議論で無駄がない、更新性、使いやすさを追求するという方向性。ここを原点に検討していきました。戦略としてはこれまで一つのコーポレートサイトに集約されていた情報を、2つのサイトに分ける。サイトには企業概要や事業内容、ニュース、求人、株式に関連するものなど様々な情報が集約されていますが、ひとつひとつの情報やページにアクセスする人=ユーザーが異なるはずです。例えば就職活動の時期になれば学生さんがコーポレートサイトにアクセスすることもあるでしょうし、LOWYAのお客様が他にどんなサービスがあるのかな?と観に来ることもあるでしょう。
一方で日々、忙しい投資家などは最短最速で決算や事業戦略に関わる情報にアクセスしたいはずです。またデバイスも学生のようにスマホが中心であるユーザーもいれば、投資家のようにオフィスのPCで大画面で見る可能性が高いユーザーもいます。このようにコーポーレートサイトにアクセスするユーザーを中心に情報やデバイスを整理した結果、様々なユーザーが訪れる会社の顔となるコーポレートサイトと、投資家を中心にPCでアクセスされる想定のIRに関する情報だけを集めたIRサイト。同じドメイン下、同じデザインルールは残しつつも、2つを別のサイトと捉えそれぞれに最適化されたUI/UXを設計していく。徹底的にユーザーオリエンティッドにいこうということになりました」
アウトプットについて
― 企業らしさを体現するためのクリエティブやアウトプットはどのようにおこなったのでしょうか?
「VEGA corporation様は、インテリアメーカーでありながら、プラットフォーマーの側面をもつ非常にテクノロジーに強い企業です。LOWYAというシンボリックな事業がありつつも、企業という顔つきで見ればあえてLOWYAと切り離しテクノロジー企業であることがファーストインプレッションで感じられるアートディレクションを入れました。」
またNEWSの記事がTOPページに常時反映・更新される仕組みにすることでサイトの鮮度を保ち続けられる設計にしています。IRサイトに関しては、とにかく必要な情報を、どうすれば取得しやすいかを追求。こちらはPCユーザー多い想定なのでフォントサイズも若干小さかったり、その代わり1画面に表示できる情報や資料、グラフなどの量が多く、一気に情報が取得できるようになっています。徹底的にユーザーオリエンティッドに、機能を追求したデザインとなっていますが、インテリアメーカー×テクノロジー企業としてのファション性やデザイン性は踏襲しています」
結果について
― リニューアルの結果、どのような反応があったのでしょう?
「社員の皆様は自社の顔となるコーポレートサイトのリニューアルはモチベーションやコミットメントの向上につながっているようでした。株主や投資家からも非常に好評ときいています。情報が見やすく、取得しやすくなった。資料のDLも伸びているらしいです。社内外から好評をいただけたことは本当に憂いしですね。」
その後の伴走・成長について(広めるフェーズ)
「僕たちの基本スタンスとしてローンチしてはい終わり、というのはないかなと思ってます。会社の顔となるコーポーレートサイトが変わったからこそ、その後の広報やブランディングに生かしていただきたいと思いました。サイト更新に必要なコンテンツの企画・制作のご支援はもちろん、それを通じて広報担当の皆様に広報やブランディングの考え方を移植させていただいたり、育成支援をおこなったりさせていただきました。あとは協力関係にあるPR会社さんをご紹介して、攻めのブランディング・攻めのPRを行っていただけるようにご手配しましたね」
提供価値
― このプロジェクトで発揮した提供価値、U.Sならではの価値はどんなところにありますか?
「上場企業の社長、取締役、執行役員といった一流の経営陣の皆様と同じ目線でビジネスを理解し、企業の成長を考えられるところかな、と思いました。VEGA corporation様とのプロジェクトを通じて、改めて気付いたのですが、経営の皆様はアウトプットや解決策だけを求めておられるのではなく、その前の検討・議論を非常に重要とされています。
企業の方向性、事業戦略を理解した上で、ブランド戦略はどうあるべきか、PR戦略はどうあるべきか、どのくらいの投資で、どのくらいの価値を追いかけるべきか、を外部パートナーとしてどこまで建設的な意見で検討・議論に参加できるのか。企画設計やクリエイティブはもちろん重要なんですが、その前工程に参加できるパートナーを求めていただいていたのかな、と思います。きっとこれは、これから先の時代、業界業種問わずどんなクライアント様にも求められることなんだろうなという気がしますね」

代表取締役 / Business Designer
井澤 佑介
アパレルメーカー広報兼SV、株式会社リクルートのシニアクリエイティブディレクターを経て、朝本と共に2018年U.Sincを設立。主に企業やサービスの事業戦略立案・コンサルティングやクライアントの新規事業立ち上げ、会社設立などのビジネスデザインを行う。「机上の空論に価値はない」と考え、自社事業としてライフスタイルブランド、D2Cブランド、スモールホテル事業などに積極的に投資・立ち上げ。実業を通じたリアルな経営データ、事実、経験に基づく戦略立案、プロデュースを得意とする。「遊ぶように、働く。働くように、遊ぶ」が人生のコンセプト。